「当たり前」と思っていたことが「通用しなくなった」時にどうするか

そんなわけで、私の「月1万円食生活」は、今のところペースを守ることができています。むしろ使わないよう、以前より、さらに気を付けるようになったので、月の年金5万円のうち、使わずに残る金額も(ほんの少しですが)むしろ増えたくらい。

山芋と豆乳のスープ。もちろん、材料費は100円以下(写真:著者)

もともとはコロナ禍で仕事がなくなり、結果として、少ない年金額とより真剣に向かいあうこととなり、このままでは奈落の底にまっしぐらかも・・・と、過去の私は恐怖すら覚えていました。

でも、大きなピンチがあったからこそ、それを乗り切るためにどうすればいいかを必死に考え、その結果生み出したのが、今のプチプラ節約生活です。

それまでの「常識」を捨て、見栄を捨て、ありのままの自分と向き合う。

その過程で、「月5万円しかない年金」を公表することにもなりました。「年金を公表する必要まではないんじゃない?」との意見もいただきましたが、公表することで、自分なりの覚悟をしたつもりです。

「ピンチはチャンス」とよく耳にしますが、この言葉は的を射ているように感じています。ピンチに陥ったということは、それまで「当たり前」と思っていたことが「もう通用しないよ」ということです。

通用しなくなった、スムーズに進まなくなった、そのとき人によって慌て、驚き、腹を立てるのはやむを得ないとして、そんな感情の波が過ぎたあと、冷静になって、これまでの自分の常識や「当然」を変えることができるのかどうか。それが重要だと思います。

私の場合、やはり69歳という年齢で戸惑い、迷うことになりつつも、なんとかそれまでの思い込みを捨てることができました。それは、そこまでの常識を捨てない限り、生活できなかったからです。

捨ててスッキリするのはモノだけではありません。私の場合、前に進むうえでブレーキになるような常識や考えを思い切って捨てたら、意外にも楽で楽しい生活が待っていました。そんなピンチを乗り切った経験で、今回の「値上げラッシュ」も乗り切りたい、そう思っています。