(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第39回は「燃え尽き症候群」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

前回「宝塚で下級生の頃は、客席にウインクもできなかった。オペラグラスごしのアイコンタクトは2人だけの世界」はこちら

幸せは3日で終わりました

タカラジェンヌの退団理由
それは人それぞれです。

次の目標や夢に向かって退団を決意する人
結婚する人
充実感満足感を得たから退団する人
などなど。

私の場合は、結婚でした。

嘘です。
完全な後者、幸せだと心から感じたから退団を決意しました。

そんな幸せなまま、私は大好きな宝塚を卒業しました。
退団した後の事は何も考えていなくて、
まずは少し休む。
これだけは決まっていました。
少し休んで考えればいいと。

「これからは自由だ!」

しかし、私の自由な休暇の幸せは3日で終わりました。
退団した私を待っていたのは、「燃え尽き症候群」というやつでした。
ここから長い間、私は深い深い闇に迷い込んでいきました。

何をしたいとか、どこに行きたいとか
身体を動かしたいとか、歌いたいとか
人に会いたいとかもなく
何もやりたくない。
でも何もしないのもストレスで…。