幸せな老後を目指すなら、お互いにしっかり顔を向け合って(提供:photoAC)

 

「年金分割」では生活できない?

さらに、「年金分割」で、老後の生活が不安定になるケースも出てくるでしょう。

たとえば、2人で20万円の年金で暮らそうと思ったら、ちょっと節約すれば、暮らせないことはないでしょう。

ところが、1人10万円ずつとなると、アパートを借りるのにもおカネがかかりますし、水道光熱費なども別々に支払わなくてはならないので、かなり生活は大変になるのではないでしょうか。ここでは、計算しやすいように10万円ずつと書きましたが、実際に分割される金額は、もっと低くなります。

厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を見ると、年金分割を受ける側の年金分割前後の受給額(老齢基礎年金含む)の月額平均は、分割前が5万3405円、分割後が8万4056円です。

つまり年金分割をしても、平均で1カ月あたり約3万円くらいの増加にしかなりません。これは妻にとっては厳しい状況といえるでしょう。

だとすれば、離婚など考えず、2人でどうにか仲良く生きていくということを考えたほうがいいかもしれません。

夫婦で約20万円というのは、現在価格での話。この先、少子化が進んで働く人が減ったり、物価が予想以上に上昇したりすると、もらえる年金は、実質的にどんどん目減りしていく可能性があります。