妻が65歳になる前に離婚してしまうと、加給年金はもらえないのです――(提供:photoAC)
物価の上昇が止まらないのに給料も年金も上がらないという、厳しい状況が続いています。そんな中、家計に危機感を持っている妻と、節約の意識が乏しい夫の間にある「金銭感覚のズレ」は早めに修正を、と指摘するのは経済ジャーナリストの荻原博子さんです。「夫が定年退職したら離婚したい」と既に愛想を尽かしている方もいるかもしれませんが、1人で暮らしていく道のりは決して簡単ではないそうで――。

「年金分割」という制度ができたものの……

●夫の言い分
離婚するって言ったって、年金はどうすんだよ?

●妻のホンネ
そんなの、あなたに関係ないわ。(ただ、65歳まで離婚は待ったほうがいいかしら……)

2007年4月からは、離婚したときに夫婦でもらえる公的年金を分ける「年金分割」ができるようになりました。

夫がサラリーマン(公務員)なら、厚生年金(共済年金)に加入しているので、専業主婦の妻よりも、夫が老後にもらえる年金は多くなります。厚生年金は老齢厚生年金と老齢基礎年金の2階建てになっているからです。

年金分割では、この2階部分の老齢厚生年金を、婚姻していた年数に応じて夫から妻に分けることになります。