テレビ番組で、「恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳」というのを聞いて感心したことがありましたけれど、「立っているだけで倒れる90歳」は、まさに「転倒適齢期」。
東京都監察医務院のデータでも、80歳以上の自宅周辺転倒・転落事故死は、交通事故死より多いのです。少し昔は、この年まで自宅で自立した生活をする高齢者が少なかったからでしょうね。
その頃です。私が空腹感で目覚めるのではなく、なんとなく目が覚めて、朝の時間を持てあますようになったのは。昔の人は、愚痴もろくにこぼさず、ときたま「あなたも〈この年〉になればわかるわよ」と漏らすだけでした。そして多くの人が、〈この年〉になる少し前に世を去りました。
いまその80歳以上の時期を迎えて生きる女性は、2人に1人。厚生労働省は少し前から、「平均寿命」とは別に「健康寿命」を発表しています。自立した生活ができる健康寿命は、女性75.38歳、平均寿命との差は、男性(8.79年)より長くて12.19年もあります。
高齢者問題に詳しい春日キスヨさん(広島・高齢社会をよくする女性の会代表)は、日本人はピンピンコロリ願望が強いけれど、現実はピンピンのあと、ヨタヨタヘロヘロして、その末にドタリと倒れて「寝たきり」になり、それからも結構長いと警告しています。
そのとおり、私は「ヨタヘロ期」真っただ中。女性にとってのヨタヘロ期を含む12.19年は、人生100年としても、その10分の1。65歳から平均寿命までとすると、高齢期の54%を占めます。ヨタヘロ期の生き方、ヨタヘロ期の市民参加を真剣に考える必要があります。なにしろ数が多いのですから。