「大阪は、とても居心地がいいです。住みやすくて食べものがおいしくて、大好きな街になりました。」(撮影:福森クニヒロ)
現在放送中のNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』で、飛行機のパイロットを目指して奮闘するヒロイン・岩倉舞を演じている福原遥さん。オーディションで2545人の候補者の中から選ばれたシンデレラガールが抱く夢とは――(構成=野田敦子 撮影=福森クニヒロ)

東大阪の人情と、 五島列島の美しい景色

2022年の4月、桜の咲く季節に『舞いあがれ!』の撮影がスタートしました。撮影に合わせて、大阪で生活しています。

こんなに長く家族と離れて過ごしたことがなかったので、寂しくなるかもと不安でしたが、スタッフの方々が温かく迎えてくださり、キャストのみなさんも優しい方ばかりで。今は、寂しさなんて感じる暇もないほど充実した毎日を過ごしています。

大阪は、とても居心地がいいです。住みやすくて食べものがおいしくて、大好きな街になりました。時間があると、お気に入りのたこ焼き屋さんにひとりで出かけることも。「朝ドラに出ている人」とは気づかれないので、のびのびと買い物を楽しんでいます(笑)。焼肉屋さんにも行きました。

舞が生まれ育った東大阪は、高い技術を持った製造業の企業がたくさん集まっていて、「モノづくりのまち」として知られています。舞の実家のねじ工場のシーンは、本物の工場をお借りして撮影しているので、地元の方々とお話しする機会も多く、勉強になることがたくさん。

リーマン・ショック後の苦労話をお聞きした時には、高橋克典さん演じるお父ちゃんの姿と重なり、頭が下がる思いがしました。舞と同じ町工場の娘さんだという方からお手紙をもらったこともあります。知れば知るほど、人情の温かさを感じるようになりました。

もう一つのロケ地、長崎県の五島列島でもたくさんの思い出ができました。幼なじみの貴司くん役の赤楚衛二さん、久留美ちゃん役の山下美月さんとは、もともと息は合っていましたが、五島でさらに距離が縮まったと思います。

美しい自然の中、長い時間をともに過ごし、おしゃべりしたり、ゲームで息抜きしたり……。「出会えてよかったねえ!」と言い合うくらい、本当に大の仲良しに。そんな特別な時を重ねて育んだ友情が、ドラマにも滲み出ていたらいいなあと思います。

舞と久留美ちゃんが行方知れずの貴司くんを探しに五島へ向かい、夕陽の美しい灯台へと駆け上って再会するシーン。あの瞬間、私も美月ちゃんも「ああ、貴司くんが無事でよかった!」と心の底から思えたんです。

五島のみなさんにも本当にお世話になりました。先日、朝ドラの特集番組で地元の方とお話しする機会があったのですが、ドラマの舞台になったことを喜んでくださっていて、嬉しくて胸がいっぱいになりました。