いつか笑顔の絶えない家庭を作りたい
子役時代から今日まで、私はいつも人に恵まれていたと思います。子役事務所でお世話になったマネージャーさんはとても愛情深い人でした。
また、高校卒業を機にお仕事を辞めるか続けるかで悩んでいた時に出会ったのが、現在のマネージャーさんです。「この人と一緒に歩んでいきたい!」と思いました。
そして、誰よりも私を支えてくれているのが、母です。自分のことより人の幸せを喜ぶ人で、とても尊敬しています。子役の頃は、挨拶や言葉遣いをきちんとするということだけでなく、常に感謝の気持ちを忘れてはいけないと教えられました。
『舞いあがれ!』のオーディションに合格した時のこと。母は、「あなたが選ばれたことは嬉しいけど、同じような思いでオーディションに臨んだ人たちの気持ちを考えると、ちょっとつらいね」と言いました。
成功に浮かれて自分のことしか見えなくなりそうな時、ともに戦った人たちを忘れてはいけないと伝えたかったのでしょう。その人たちの思いも背負って一所懸命に役に向き合わなくてはならないと、大きな責任を感じました。
最近つくづく思うのは、人はひとりでは決して生きられないということです。喜びも悲しみも、自分以外の誰かがいて初めて生まれるものだから。そう考えると、大きな夢を叶えるのも幸せだけれど、それと同じぐらい、もしかしたらそれ以上に、愛する人たちと過ごす日常の時間や、他愛のない出来事が幸せに思えてきます。
母の口癖は、「どんなにつらいことがあっても、幸せは必ず見つかるものよ」。これまで見えていなかった小さな幸せに気づき、一つひとつを丁寧に拾い上げて、自分の心を幸せで満たせたらいいですね。
私もいつかは笑顔の絶えない家庭を作り、母が私たちに与えてくれたような愛情を子どもたちにたっぷり注ぐのが夢。でも、それはまだずっと先の未来ですね。今は仕事が楽しくてたまらないんです。
私は自分の声があまり好きではないんですが、声優としてかかわった作品を通じて、私の声の演技を楽しんでくださる人がいることを知り、ほんの少しだけ自信がつきました。
お芝居でも、声優でも、音楽でも、もし、自分にしかできないことがあるのなら挑戦してみたい。舞が空を飛ぶことを決して諦めないように、私も自分の力を信じて表現を磨いていきたいと思います。