難航する兄の病院探し
病院の会計を待つ間に、もよりの病院に電話をかけ、血管外科がないと断られた。翌日から会社の昼休みに、ビルの外に出て携帯電話であちこちの病院に電話をした。
当時、ビルの地下にあった会社には携帯電話の電波が入らなかった。
大学病院や一般の総合病院に電話し、「統合失調症である。いろいろな治療薬を40年間飲んでいる」と伝えると、「すぐに判断できない。担当の医師に聞いてみる」となった。相手は多忙な医師だ。いつ返事ができるかわからないので、病院から私に電話をすると言うのである。
会社の外に出ないと携帯電話は受けられない。ずっと外で電話連絡を待っていたら仕事ができない。
私の勤めていた会社は、社員7名。私は社長に事情を話し、病院からの手術ができるかできないかの返事を会社にかけてもらう許可をとった。
これを聞いていた社員たちが、私がいない時に病院から電話があった場合、手術をできるか、できないか、代理で聞くから、病院の方にそう伝えてくれと言ってきた。ありがたかった。