我が家のルール

食べ始めてまもなく、父の沸点はあっという間にゼロから10に振り切れる。ああこんな時、あなたの手元のコップの酒は飲み干す前にいっそ倒れて溢れてしまえ、といつも願う私である。

五月雨式のお小言は果てしなくコンコンと続く。

今日は翔大か瑛介か。
二人いる時はどちらか一方が叱られると、一方は黙って食事を急いで、さっさと違う部屋に逃げ込んでいく。一度兄が泣くまで詰められていて、ドカーン!と父の声の音量が振り切れて最大になった時、そばで食べていた弟がご飯をシャシャシャー!と素早くかきこんだのを見た時は、ちょっと笑ってしまった。
でも今は兄がいないので、瑛介一人がエンドレスで叱られてしまうのだ。お気の毒。

ちなみによほどのことがない限り、息子たちが叱られている最中、わたしが止めに入ることはしない。命の危険が迫っていない限り、父の怒りと最後まで向き合わせるのが我が家のルールだ。
夫は自分が経験した苦さを知っているので、きっとどこまで詰めれば十分かをわきまえているはず。そこは夫婦の信頼関係なのだが…わたしも痛みを乗り越えて産んだ我が息子、あまりの恐怖に顔を歪めた様子をただ見ているのは、なかなかツラいものである。

どうにか一連のお叱りトークがそろそろエンディングを迎えますように…母と息子が密かに心から願う絆でガッツリ手を携えていることを、怒り心頭の父は知っているだろうか。