太田さんいわく、ドラマで求められる子どもらしさとバラエティで求められる子どもらしさは必ずしも同じではないそうで――(写真提供:Photo AC)
主に、映画・テレビなどで「子供の役」を演じる俳優を指す「子役」。一言で「子役」といっても、美空ひばりさんら「映画」を舞台に活躍した俳優がいれば、「バラエティ番組」で人気を博した内山信二さん、「テレビドラマ」で存在感を高めた安達祐実さんなど、時代や視聴者のニーズに伴い、多くの違いが存在します。一方「しばしば、大人の俳優へと上手く脱皮することの難しさ、それゆえの挫折があった」と話すのが、社会学者の太田省一さんです。太田さんいわく、『あっぱれさんま大先生』で素の面白さを発揮できそうな子役を選んだことが、子役の歴史における大きな価値観の転換に結びつくひとつの出来事だったそうで――。

学園ドラマのバラエティ版『あっぱれさんま大先生』

1980年代に子役のバラエティ番組進出は本格化した。そしてそのひとつの集大成とも言えるのが、『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系、1988年放送開始)である。

番組のメインは、明石家さんま。さんまが先生役で、子役たちが生徒役という設定である。

ただしドラマではないので、台本はない。すべて、フリートークである。

子役たちが自由気ままにする発言を、さんまが引き取って臨機応変に笑いに変えていく。言うならば、“学園ドラマのバラエティ版”である。

子役たちは、むろん笑いに関してはみな素人である。

だが、そうした素人相手のフリートークにずば抜けた冴えを見せる明石家さんまの手腕のおかげで、多くの人気者が生まれた。