バラエティ番組が子役に求めたもの

ただ、バラエティ番組なので、演技の巧拙は関係ない。

ここで言う“子どもらしい子ども”とは、「自分が思っていることや感じていることを素直に言葉・表情・態度で表現できる子ども」である。

たとえば、劇団若草では、挨拶などの礼儀が厳しく叩きこまれていた。それは教育的理念を持つ児童劇団では当然の方針だった。

だが三宅恵介や明石家さんまは、それを芸能界慣れしてしまっているととらえ、挨拶のきちんとしている子役はその段階で不合格にした。

実は後藤久美子もこの番組のオーディションを受けていたのだが、ちゃんとしていたがゆえに落としたという(同書、195-196頁)。

ここからわかるのは、ドラマで求められる子どもらしさとバラエティで求められる子どもらしさは必ずしも同じではないということである。