クリスマスを一緒に過ごす記事の著者・岩佐まりさん(左)と認知症のお母さん(写真提供:著者)

考えることで解決することも少なくない

認知症が進むにつれいろいろな症状が出てきましたが、認知症の人の行動にもちゃんと理由があるんですよね。

夜中に起き出してトイレに行こうとする行動が目立った時期には、夫のベッドからトイレまでの道順に明かりが灯るようにしました。トイレのドアは開けておきます。すると、明かりに導かれてひとりでトイレに入ってくれるんです。

そのうち、夫はひとりでトイレに行けなくなりました。なので私は夫の布団の下に、夫が起き上がるとブザーが鳴るセンサーを置き、夫が起きると私も目が覚めるようにしました。このブザーはケアマネージャーに教えてもらったもので、月数百円で借りられましたよ。

トイレに連れて行ってもうまく用を足せず、トイレをびしゃびしゃにしてしまうこともありました。そういう失敗が毎日のように続くので、私は眠れずに困りはててしまったんですが、まもなくわかったんです。失敗の原因は私でした。

夫をトイレに連れて行く間「もうちょっとでトイレだから我慢してね」と言い続けていたのが、かえってまずかったんです。「我慢してね」を言わずに連れて行くだけで、失敗することもなくなりました。

よく考えることで、解決する。認知症介護では、そういうことは少なくありません。