人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第23回は、「急性膵炎」です。
(取材・文/松井宏夫 医学ジャーナリスト)
この記事の目次
〈症状〉痛みが出る場所は人によってさまざま
〈原因〉膵液が活性化して臓器を溶かし、炎症に 〈治療〉基本は絶食と点滴。原因次第で手術も 〈予防〉飲みすぎには注意。「4ドリンク」を心がけて

〈症状〉痛みが出る場所は人によってさまざま

膵炎には慢性と急性の2種類があります。今回取り上げる急性膵炎の主な症状は、みぞおちあたりの激しい「胃」の痛みです。

痛みを感じる部位は、「背中」や「腰」の場合もあります。これは、膵臓が胃の裏側で背骨のすぐ前にあることと大きく関係しており、その周辺部位にあたる腹部や背部に激しい痛みが起こるのです。

軽症であれば、車の運転ができる程度の痛みなので自家用車で病院に行くことも可能ですが、重症の場合は救急車で搬送されるケースがほとんど。背中を伸ばすと痛みが強く出るため、移動ベッドの上で胸と膝をくっつけて座り込むような姿勢で運ばれてきます。

さらに重症になると、意識のない状態に陥ることも。急性膵炎の患者は年間約7 万人で、重症患者はその10%程度です。

図:急性膵炎が起きる仕組み
膵液があふれ、膵臓や周囲の組織を溶かして発症。胆石が胆管の出口を塞いで起きることも