早めに補聴器をつけることもひとつの選択

老人性難聴への対策は、まず「大きな音を聞かない」ことです。それと、血管がつまると難聴のリスクが高まりますので「糖尿病や動脈硬化を予防する」ことも大切です。

また、聞こえにくくなっている場合は我慢せずに、早めに補聴器をつけることもひとつの選択です。補聴器をつけると、認知力が難聴になる前の元の状態に回復するという報告もあります。

早めに補聴器をつけることもひとつの選択(写真提供◎photoAC)

一度衰えた聴覚を取り戻すことは難しいですが、もし聴覚が衰えたとしても、聴覚以外の刺激、たとえば体感覚や嗅覚、視覚、新しい体験などがあれば、老人脳を防ぐことができる可能性はあります。「聴覚が衰えたからスーパーエイジャーにはなれない」ということではありません。

私の祖母は50代から耳が聞こえづらくなり、60代では電話もできないほど、ほとんど聞こえない状態でした。

90歳でこの世を去りましたが、最後までとても前向きで元気な人でした。祖母が大好きだったこと、それは踊りの教室に通うこと、俳句を詠むこと、そして手紙を書くことでした。

私が大学で東京に上京したときも、毎月手紙で励ましてくれました。手書きで文章を書くことは脳の認知機能を著しく高めます。つまり、聴覚が衰えたとしても、ほかの刺激を最大限活用し、できる限り脳の元気を手にできるのです。