ダイエットで主に落ちるのは筋肉
実は、今回の回答で一番気になったのは、糖質制限をしている人が多かったことです。どの人も「太りやすい」「メタボ対策」といった理由から、「夕食に米を食べない」など自分なりのルールを決めているようでした。
そういう人に限って、一週間の献立を見ると菓子パンや揚げものを高頻度で食べていたりするのですが(笑)、それはともかく、重度の糖尿病といった症状がない75歳以上の高齢者は、一度メタボから頭を切り替えてほしい、と考えています。
これまで日本では、メタボ予防策を中年層だけでなく、前期・後期高齢者にも適用してきました。健康診断を受けるとき、必ずお腹周りを測りますよね。男性で腹囲が85cm以上、女性で90cm以上、さらに中性脂肪や血圧、血糖の数値が規定以上になると「メタボリックシンドローム」と診断されます。
その影響もあって、私の行った調査では75歳以上の4~5人に1人は「痩せなければ」と考えていることがわかりました。もちろん個別判断は必要ですが、メタボを気にしたほうがよいのは65~74歳の前期高齢者まで。75歳からの後期高齢者については、メタボからのギアチェンジが喫緊の課題だと考えています。
仮に1年かけて、体重を2~3kg落とすとしましょう。50代なら運動と食事制限によって脂肪が落ち、筋肉が維持されますが、75歳以上が食事制限によるダイエットを行うと、メインで落ちるのは筋肉です。
脂肪だけは残り、しわが増え、体調を崩しやすくなり、フレイルは進む一方。「いったい、何のためにダイエットしているの?」ということになってしまいます。
糖尿病などの基礎疾患があるとか、心臓の手術をしたばかりという人は、炭水化物や高脂質の食事を控えたほうがいいですが、そうでない限り、75歳を超えたら腹囲をあまり意識するのはやめましょう。
お米もちゃんと食べてください。白米を食べると確かに血糖値が上がりますが、実は茶碗一杯の白米(150g)に含まれるたんぱく質の量は4gくらいあり、たんぱく質摂取の観点からも決してバカにならない食材なのです。