口腔機能をもっと大事に考えて

健康を意識するあまり、「油は悪い」と誤解している人も多いようですね。しかしエネルギー(摂取カロリー)が不足した状態が続くと、たんぱく質がエネルギー源として使われるため、筋肉量が減ってしまいます。

食が細い人は量を食べることができませんから、少ない量で多くのカロリーを確保できる油は、高齢者の低栄養対策に有効なのです。

これまで高齢者に向けた話を中心にしてきましたが、回答者をみると、40代から90代まで年齢層が幅広い。食生活の悩みは、年齢によって大きく変わりますよね。

たとえば50代の方で何人か、「高齢の親に合わせた食事を作るので、毎日軟らかいものを食べている」と書いている人がいました。ほとんど噛まなくてよい食事ばかりなので「自分の口腔機能が気になる」とも。確かに、これは深刻な問題だと思いました。

噛み応えのないものばかり食べていると、噛む、飲み込む、滑舌などの口腔機能が衰える「オーラルフレイル」の状態に。オーラルフレイルは、自覚がないまま静かに進行していきますが、これを年齢のせいにしてはいけません。

口のなかや周辺には、たくさんの筋肉があります。舌も筋肉です。手足と同様使わずにいると、その力はどんどん衰えていきますので、ほどほどの負荷をかけるようご自分で努力してみてください。