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かつて女性の辛さは「女三界に家無し」と表現されました。しかし現代、「本当に住む家が買えない、借りられない」という危機的状況に直面するケースも増えています。そして男女雇用機会均等法で社会に出た女性たちが、会社勤めをしていればそろそろ一斉に定年を迎える時期に…。雇均法世代である筆者は57歳、夫なし、子なし。フリーの記者・編集者。個人事業主ではあるが、見方によっては「無職」。ずっと賃貸派だった彼女が、60歳を目前に「家を買おう」と思い立ち、右往左往するリアルタイムを、心情とともに綴ります。

家賃が家計に重くのしかかってくる

このところの物価上昇で、家計簿を見直した人も多いのではないでしょうか。そこで質問です。あなたの家計で、最も多くの割合を占めているのは何費ですか? おそらく、住居費ではないでしょうか。

こんな調査があります。住宅費を支払った後の家計に「余裕がない」中高年シングル女性は、なんと6割にも及びました。当然ながら、年収が下がるほど、余裕がない人の割合は増えます。年収300万円未満では77.9%、200万円未満だと86.1%の人が、「あまり/全く余裕がない」と答えました。任意団体「わくわくシニアシングルズ」が昨年末にまとめた調査で、40歳以上のシングル女性2345人にアンケートした結果です。

この調査で、回答者らのコメントには、「家賃の負担が非常に大きい」「収入が大幅に減ったときに、家賃が払えるか」といった住居費の負担への不満と不安、また「年金生活者でも暮らせる単身者向けの公的住宅の拡充を」といった要望が並びました。でも、考えてみてください。

年収200万といえば、女性の厚生年金の受給額とほぼ同じです。働いてきた女性がもらえる年金の平均額は、2022年4月時点で約191万円 です。一方、家賃は、全国平均の最新値で月5万5675円(2018年) 、年間にしたら約67万円かかります。東京など首都圏や近畿圏などではもっと高額でしょう。年金暮らしになったら、家賃が家計に重くのしかかってくるのは目に見えています。