次々と原作未読者の頭に浮かぶ疑問。そして彼女が映画鑑賞後に受けたという「最大の衝撃」とは――。(写真:婦人公論.jp 編集部)
日本のみならず、海外でも大ヒット中の映画『THE FIRST SLAM DUNK』(井上雄彦原作・監督・脚本)。興行収入は2月の時点で100億円を突破するなか、「原作未読で映画のみ鑑賞した」という人もちらほら。そこで今回『ジャンプ』連載中から『SLAM DUNK』を追っていた40代・リアルタイム読者と、20代・原作未読者が映画の感想を話し合いました。「なぜ桜木は赤坊主?」「湘北メンバーで一番バスケが上手なのは誰?」そして原作未読者が映画鑑賞後に受けた「最大の衝撃」とは――。*記事は映画のネタバレを含みます。

40代の思春期を直撃した『SLAM DUNK』

――原作の『SLAM DUNK』(井上雄彦/集英社)は『週刊少年ジャンプ』で、1990年から96年にかけて連載されていました。そしてその盛り上がりとともに、バスケブームが起きて。スポーツとしてのバスケットボールはもちろん、NBAやオリンピック、ストリートバスケなどなど、さまざまな分野に影響が派生していった。その中に、ファッションとしてのバスケットシューズ人気もあったんだよね。

いわゆるバッシュ、ですね。

――たとえばナイキの「エア・ジョーダン」シリーズ。特に作品中、湘北バスケ部メンバーの流川楓が履いていた5、そして桜木花道が履いていた1、6あたりの人気はすさまじかった。というか、マンガの中に実在するブランドやアイテムが描かれて、それがブームを起こした、っていうのは今考えても凄い現象。

映画の中でも、シューズはすごく印象的に使われてましたよね。スリーポイントシュートを放った後、着地までの余韻を象徴するように足元が描かれていたり。

――スニーカーブームそのものは、盛り上がりに浮き沈みがあったりしながら今に至るまで続いていますが、ブームを支えてきた40代の多くは『SLAM DUNK』の洗礼を受けた世代だと思う。それこそ小学校高学年とか中学校とか、オシャレに目覚める思春期のタイミングの時に原作やアニメがあって、直撃。

それは影響が大きい……。

――作者の井上雄彦先生が『週刊少年ジャンプ』で『SLAM DUNK』の前に、連載していた『カメレオンジェイル』(著:井上雄彦、企画・原案:渡辺和彦/集英社)もニューヨークを舞台にした話だったし、すごくスタイリッシュだった。今の40代は、世代的にアメリカの文化を雑誌や映画、音楽やら、いろんな形で吸収してきたと思いますが、自分の場合「漫画を通じて」という意味では、鳥山明先生と井上先生の影響がやっぱり大きかったと思う。流川がヘッドホンを付けてロードバイクに乗っているシーンなんかもしびれたなあ。