背景が分からずとも

原作で、湘北バスケ部メンバーの中で一番上手なのは誰、ということになっていたんですか?

――一番、なんて考えたことがなかった(笑)。ポジションやそれぞれに求められている役割が違うから何とも言えないけど、やっぱりプレーの巧みさでいえば流川なのだろうか……。

流川がすごいってことはわかるんですが、結局、相手の沢北栄治と対戦して勝てない、という印象が強くて。それでいて、映画の中だと沢北の相手はあくまでリョータ、という立ち位置でしたし。キャプテンの赤木剛憲は、最後の方までずっと苦戦していた印象です。

――赤木の場合はプレー面以上に、チームの精神的な支柱、という部分がしっかり描かれていたよね。

苦労を重ねて重ねて、ようやく自分たちの代になって、メンバーに恵まれて……。その過程あっての、今のチャレンジや喜び、ということはしっかり伝わってきましたし、そこは大泣きしました。三井も、フラフラながら、力を振り絞ってフリースローを投げるし、桜木も「今が人生のピークだ」と無茶をする。試合とは言え、なぜここまで命というか、魂を削って死闘をするんだろう。でもいろいろな背景があって、この一投を放っているに違いない……。めちゃくちゃ心に響きました。