(写真提供◎illust AC)
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さんによる『婦人公論』の新連載「老いの実況中継」。90 歳、徒然なるままに「今」を綴ります。第2回は、【他人の好プレーに拍手を】です──。 (イラスト=マツモトヨーコ)

恒例の「女たちの討ち入り」

2022年の師走、東京・日比谷で、私たち「高齢社会をよくする女性の会」は、「歳末名物・女たちの討ち入りシンポ」を開催。私はヨタヨタしながらも壇上に立って理事長として挨拶をしたり、全国から来場した会員の方々の活動報告やゲストの話を拝聴したりしました。

「女たちの討ち入りシンポ」と命名されたのは、96年第3回から。豊かな高齢社会を創造できるよう、介護保険制度が後退しないよう、それこそ「討ち入り」するくらいの気概をもって、みんなでまとまって世の中に発信しよう――という思いをこめてのネーミングです。

これまで厚生労働省老健局局長などの幹部の方々も呼びかけに応じて参加してくださいました。ときには「今日は吉良上野介(きらこうずけのすけ)役でまいりました」などと、ジョークの応酬も。96年には当時厚生大臣だった小泉純一郎さんもご登壇。政府側にも国民の期待に応えたいという方はいて、「とは言っても予算が」など言い分があります。

お互いの「言い分」を「イーブン(対等)」に披露できるシンポジウムは、立場の違いを超えて生の言葉をぶつけ合う、よい機会だったと思っています。

昨年末の「討ち入りシンポ」では、上野千鶴子さんが「老後の安心を守るために――史上最悪の介護保険改定を許さない!」という演題で熱弁をふるってくださいました。