足を引っ張らず、手を引き合おう

そんなわけで急遽準備を始め、22年6月にマスコミに発表。募集したのは、高齢社会をできるだけ安心して過ごせるような活動をしている個人や団体です。うれしいことに、全国から122件もの応募がありました。

受賞者は厳正な審査を経て選ばれ、副理事から賞状と賞金を授与しました。個人の部で受賞されたのは、「中国帰国者センター」の鈴木洋子さん。敗戦時に中国に残され、後に日本に帰国した日本人の方々が穏やかな老後を過ごせるよう、活動しておられます。

団体の部は、高齢化が進む大規模集合住宅で世代間交流や高齢者サービスを行っている「特定非営利活動法人 いこいの家夢(むー)みん」と、継承者がいない方のお墓問題を解決するシステムを構築している「認定NPO法人 エンディングセンター」が受賞されました。

みなさん、独自の視点で地道に活動しておられ、「あっぱれ!」「あなた、素敵よ」と拍手を送りたくなる方々でした。

他人のファインプレーを見たとき、嫉妬の炎が燃え上がって拍手しにくいこともあるでしょう。ですが誰かが何かを始めたとき、「あ、いいなぁ」と思ったら、足を引っ張るかわりに手を引っ張り合いたいものです。

手を引っ張ってもらえば、体重の重い私でも、普段は二歩しか歩けないところを三歩、四歩と歩める気がします。「樋口さん、がんばんなさい」と手をとってくださるみなさんがいなかったら、ここまで活動を続けることはできなかったでしょう。

「老いてなお 我もなりたや 微助っ人(びすけっと)」の精神で、私も微力ながら、「あなた、素敵よ!」と他人のファインプレーにエールを送り続けたいと思っています。