増田 私もお返しをしようと思って、2021年の東京オリンピックの会場で見かけたとき、ほら、(ラケットを振るしぐさで)テニスの動きをしたでしょ?
松岡 あれ、そういうことだったんだ!(笑)
増田 わかってなかったのね!ぽかんとしてるなあ、とは思ったんだけど。
松岡 明美さんも僕も、数十年にわたって選手と観戦する人とを繋ぐ仕事をしていますよね。同時に、スポーツを観たくなる、したくなる、好きになってもらう役割も担ってきたと思うんです。そのために工夫してきたことはありますか。
増田 瀬古利彦さんや私が陸上界で現役だった1970~80年代、長距離走やマラソンを走る選手には修行僧のようなイメージがあったと思います。
松岡 明美さん、あらゆる記録を塗り替えるので「女瀬古」なんて呼ばれていましたよね。
増田 結局プレッシャーに負けて、84年のロサンゼルスオリンピックのときはマラソンを途中棄権してしまいました。でもいまはもう、そういう修行僧みたいな姿は共感されにくい時代になっているんじゃないかしら。
みんなが応援したくなるよう、その選手がいかに走ることが好きで、競技生活を楽しんでいるか、といった情報を多めに伝えるようにしています。