「何かアドバイスするとかじゃないんですよ。言葉にできない温度感のようなものを現場で感じてもらえたらいいな、って」(撮影:宅間國博)
大河ドラマから現代劇まで、幅広い作品で鮮烈な印象を残す俳優、草なぎ剛さん。主演を務めるドラマ『罠の戦争』の最終回が2023年3月27日に放送されます。草なぎさんが演じる鷲津亨に待つ結末とは――。今回は『罠の戦争』のエピソードや、役柄への向き合い方などをお聞きしました。今後について発売中の『婦人公論』2023年4月号から、特別に記事を先行公開いたします。(構成=上田恵子 撮影=宅間國博)

現場への差し入れがどんどん豪華に

現在出演中のドラマ『罠の戦争』は、『銭の戦争』(2015年)、『嘘の戦争』(17年)に続く「戦争シリーズ」の第3弾。ドラマ主演は6年ぶりです。

僕が演じているのは、命を懸けて尽くしてきた政治家から裏切られる議員秘書、鷲津亨(わしづ・とおる)。息子が重傷を負わされた事件のもみ消しをその政治家から迫られ、復讐を決意する――という物語です。

「弱い者には弱い者なりの闘い方がある」と、知力を尽くして罠を仕掛け、権力者たちを追い込んでいきます。どんでん返しに次ぐどんでん返しで、誰が黒幕なのか全然わからない。僕はふだん、台本は自分の台詞しか読まないタイプなんですが(笑)、今回は「犯人は誰なんだ!?」と、続きを読むのが楽しみで仕方がなかったです。

最近は自分より若い方たちと現場でご一緒する機会が増えてきました。今回ドラマで共演している杉野(遥亮)くん、(小野)花梨ちゃん、坂口(涼太郎)くんも、僕よりずっと年下です。

現場では自分を出し惜しみしないようにしていると言いますか、「何か僕のことで刺激になるもの、拾ってもらえるものがあればいいな」という気持ちでいます。何かアドバイスするとかじゃないんですよ。言葉にできない温度感のようなものを現場で感じてもらえたらいいな、って。もし僕が彼らにアドバイスするとしたら、「今日は早く寝ろよ」くらいですね。(笑)

共演者の岸部一徳さんはじめ、上の世代の方たちと接するときも、以前より接し方が深くなったというか。尊敬する気持ちが強まっています。とにかく現場が楽しいです。

この雰囲気の良さが画面から出ているのでしょうか。ドラマの評判もいいみたいで、現場への差し入れがどんどん豪華になっていくんです。僕もこの世界に長くいるので、差し入れでわかるんですよ。「跳ねてる」なって(笑)。

まだクランクアップはしていませんが、今の時点で最終話まで手ごたえを感じています。ハラハラとドキドキと、《罠》だけにワナワナの三段活用! このまま皆で力を合わせて、最後まで元気に駆け抜けたいです。