人に打ち明けられない不調や悩み。日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第25回は、「潰瘍性大腸炎」です。
(取材・文/松井宏夫 医学ジャーナリスト)
この記事の目次
〈症状〉炎症が引き起こすさまざまな不調
〈原因〉免疫異常が発生し自分の腸を攻撃する 〈治療〉薬物治療を中心に、寛解と再発防止に努める 〈予防〉予防ができないからこそ上手に付き合って

〈症状〉炎症が引き起こすさまざまな不調

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、「びらん」や「潰瘍」ができる病気です。びらんや潰瘍は肛門に近い直腸からS状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸へと広がり、その広がり方で「直腸炎型」「左側大腸炎型」「全大腸炎型」に分類されます。

主な症状は、水分を吸収して便を形作る大腸の機能が炎症により阻害されて起きる「下痢」「血便」「粘血便」の3つです。また、排便回数が多くなったり、突然の便意に襲われたりすることも。「腹痛」「腹部の不快感」を訴える患者もいます。重症になると「発熱」「貧血」「倦怠感」などの全身症状を伴うケースも少なくありません。

症状が強く出る「活動期」と、ほとんど感じない「寛解期」を繰り返し、慢性的に続くのがこの病気のつらいところです。

図:大腸の構造と3つのタイプ
炎症が(1)直腸だけの「直腸炎型」、(2)直腸からS状結腸、下行結腸までの「左側大腸炎型」、(3)大腸内全体の「全大腸炎型」の3タイプに分かれる