長く鹿児島の離島で暮らしていた高齢の祖父母。しかし祖母は福岡に移り住んでもらった翌朝、入院することになり――(写真:著者)
NHKの朝ドラ『舞いあがれ!』では五島に住んでいた”ばんば”こと祥子(高畑淳子さん)が倒れたことをきっかけに、東大阪へ移り住むことになりました。島を離れたくないばんばと、移ってほしい家族とで「覚悟」が問われるシーンもありましたが、歳を重ねたのちに過ごす場所が本人の望む所か、周りの家族が望む所とするかは、一家にとって大きな問題なのかもしれません。フォトグラファーである高重さんのご家族も、その問題にぶつかります。鹿児島の離島で暮らしていた高齢の祖父母を説得し、福岡へ移り住んでもらうことになりましたが、移ったその翌朝、祖母は入院することになり――。

祖母が入院して

鹿児島から福岡に移った翌日、食事をのどに詰まらせ、救急搬送されてから三ヶ月。祖母はまだ入院していた。

祖父は不機嫌なことが多く、周囲の人にしばしば怒りをぶちまけるようになっていた。

感情の起伏が激しく、発言の内容も曖昧。周りとの会話は、次第に噛み合わなくなっていった。

叔母は「認知症が入ってるんだよ」と諦めたように言い、従姉妹は「喧嘩になって何度も泣いた」と声を落とす。