日々の思いや、戦争体験などをつぶやくツイッターが注目され、現在20万人以上のフォロワーがいる大崎博子さん。住まいは約57平米の都営住宅、モノは極力増やさずにシンプルな暮らしを心掛けているそうで、月々の生活費は家賃を含めて10万円ほど。その暮らしぶりは、老後のお手本にしたいアイデアに溢れています。そんな大崎さんの転機は、70代にあったとのことで――(構成◎篠藤ゆり 撮影◎大河内禎)
思わぬ方向に人生が開けて
人生が劇的に変わったのは、78歳でパソコンと出会ってから。パソコンがあれば無料で国際通話ができると娘から聞きました。さらに、Macを購入すればアップルストアのパソコン講座が1年間9800円で通い放題だと。銀座に行くのも楽しみで、週1回3年間通い続けました。おかげでパソコンを覚えただけではなく、友人もできて一石二鳥でした。
せっかく使い方を覚えたのだからツイッターに挑戦しようと、友人とお互いフォローし合ったものの、3~4人なのであまり面白くありません。そんな時、東日本大震災が起きたのです。
何日も電話がつながらないなか、ツイッターは使えたので、娘とも連絡がつきました。そのうち福島第一原発の事故の件で、ふつふつと怒りが湧き──「東電や政府の言うことは大本営発表と同じ」とツイートしたところ、注目されて。ネットのニュースでも「78歳の老女のつぶやき」と取り上げられ、そこからものすごい勢いでフォロワーが増えていったのです。
その後、戦争体験をツイートしたり、「後期高齢者という言い方がいやだ、私は高貴香麗者」とつぶやいたりしたら、またまたすごい反響。ツイッターを続けているうちに、「本を出しませんか」とお話をいただくなど、思わぬ方向に人生が開けていきました。