「実際、政治家やお坊さんはほかの職業よりも長寿だという統計もあるんですよ」(渡邊さん)

とっさの踏ん張りに声筋が大活躍

天童 先生には以前、声筋を鍛えると「こけない」「よろめかない」ことも教えていただきました。のどとはあまり関係がないようにも思えますが……。

渡邊 なぜ人が踏ん張れるのかというと、声帯をピタリと閉じて肺の中を空気で満たし、上半身を安定させているから。スポーツ選手が試合中に独特の掛け声を発したり、私たちが重い荷物を持つ時に「よいしょ」と声が出たりしますよね。

あれは声筋にグッと力を入れて声帯を閉じるために必要な動作なんです。逆に声帯が閉じきらずに息が漏れてしまうと、出せる力が3割ほど落ちるともいわれます。

天童 そういえば、のどの調子が悪い時はペットボトルの蓋を開けるのも一苦労です。

渡邊 瞬間的に大きな力が出せないと、つまずいた時に、とっさの踏ん張りがきかなくなります。転倒予防に、声筋を鍛えることはとても重要。

ペットボトルが開かない時も、人に頼らず頑張ってのどに力を入れて開けてみましょう。拭き掃除の際にぞうきんをぎゅっと絞る動作もおすすめですよ。

天童 自分を甘やかさないということですね。私自身、年齢もあるのでのどをいたわらねばと思う半面、多少無理することも必要かもと思っていて。たとえば、自分のキーとは合わない曲を「えいやっ」と何回も歌うと、てきめんにのどを痛めます。

だけどそれをくり返すと、「あれ、楽に出るようになった」と思うこともあるんですね。それで最近は、音域が広い曲に挑戦するようにしています。