石井ふく子さんと橋田壽賀子さん(提供:石井さん)

「心と心をむすぶ」おにぎり屋を舞台に

つくりたてのおにぎりは、ほんわか温かくて、ふっくらしています。つくって時間がたったものもおいしいし、不思議なことにおにぎりを食べると、なぜかほっとした気分になります。

そしておにぎりは、おむすびとも言います。「心と心をむすぶ」気持ちを象徴させるには、おにぎり屋がいい! そう思って決めた設定です。

私はドラマをつくる際、「長回し」という、ワンカットを長くする技法をよく取り入れます。実はこの方法は、役者さんにとってはけっこう大変です。たとえば今回は、女優さんがおにぎりをつくりながら台詞(せりふ)を言うシーンがけっこうありますが、ちゃんとプロの手つきに見えなくてはいけません。握っている手だけを別カットで撮り、台詞を言うときは上半身だけ撮影したほうが、本人は楽でしょう。

それでも長回しを使うのは、演じるほうも視聴者も、カットでぶつぶつ途切れないほうが気持ちがつながりやすいと考えているからです。説明的な撮り方より、ワンカットで情景を描いたほうが、見る人の心に沁みやすいのではないか。そういう信念があるので、脚本の山本さんにもずいぶん書き直してもらった次第です。

相葉さんは、こうした撮影スタイルは初めてだったらしく、「いいドラマに出させていただいて、本当に勉強になりました」と言ってくれました。私は「いい作品になるよう、努力するわね」と答えました。