年金とパートの給与でやりくり

一方、65歳から受給を始めた年金とパートの給与の計23万円で毎月やりくりしているのは、大分県在住の市村咲子さん(66歳・図C)だ。

市村咲子さんの1ヶ月の家計簿

40代で離婚、現在住んでいる実家は、老朽化のため2年前に建て替えたばかり。両親は数年前に相次いで鬼籍に入った。ひとり娘は結婚し、家を出ている。

「両親とも80歳を超すと2階に上がれなくなったので、自分の老後を考えて平屋にしたんです。そのローンがあってパートのお給料だけでは心もとなく、65歳から年金をもらうことにしました。まだ返済は残っていますが、銀行のファイナンシャルプランナーと相談しながら資産管理をしているので、特に不安はありません」と市村さん。

貯蓄額は約1000万円。若い頃から株などの投資で少しずつ貯めてきたものだ。

「専門家の話を聞きながら、数ヵ月ごとに見直して運用しています。リスクが少なく、安定した投資を心掛けてきました」

趣味と実益をかねた、庭での野菜作りが目下の楽しみ。土や防草シートなど多少費用はかかるが、手作り野菜は味も格別だ。

「家を建て替えた時にちょっといいカーテンをリビング用に選んだんです。値段は張ったけど、デザインも手触りも気に入っています」

コロナ禍が続いたこの3年。長い時間を過ごす「家」を居心地のよい場所にするのは、生きたお金の使い方のように思える。

 


《ルポ》貯金0円でも幸せ!?独居10人の家計簿
【1】おひとり様シニアの生活費「いくらあれば安心?」老後資金の不安はなくとも、旅行は『青春18きっぷ』など、支出にはメリハリをつけて
【2】おひとり様シニアの生活費。貯蓄0、収入10万でも楽しく居酒屋を切り盛りする73歳。車椅子になってもお店は続けたい
【3】おひとり様シニアの生活費。築50年、家賃3万5000円。家が倒れるのが先か、私が倒れるのが先か。月14万で、ボランティアを生きがいに