(写真提供:photo AC)
シニアのひとり暮らしには、いくらあれば安心なのか。読者にアンケート調査をしたところ、それぞれのお金に対する価値観が見えてきた(取材・文◎古川美穂)

<80代~90代>1ヵ月の家計は?

写真を拡大 Hさん、Iさん、Jさんの1ヶ月の家計簿

 

ボランティアをするのが生きがいに

 兵庫県の賃貸一軒家でひとり暮らしをする西村郁子さん(82歳・図H)は、年金6万円と長男、長女からの仕送り8万円の合計14万円で生活している。

西村郁子さんの1ヶ月の家計簿

「この家を借りたのは離婚してすぐ、30年以上前。当時の家賃は6万円ぐらいだったのですが、だんだん値下げしてもらい、今は3万5000円。老朽化がひどいので大家さんから好きに直していいと言われていて、雨漏りなんかは自費で直しています。築50年だから、家が倒れるのが先か、私が倒れるのが先か」と西村さんは笑う。

 野菜は近くの朝市や直売所で安くて新鮮な地場産を買っている。着るものは何でも自作するため、ほぼお金がかからない。

「若い頃に仕立ての仕事をしていたので、洋裁、編み物、刺繡、手芸全般が得意。洋服だけでなく、帽子、ブローチなどの装飾品も時間さえあれば作っています。材料やデザインを考えているだけでもワクワクしますね」

 西村さんは介護の資格を持っており、以前はヘルパーをしていた。現在はその経験を生かして、介護施設でボランティアをするのが生きがいになっている。

「近くのデイサービスで調理をしたり、喫茶や体操、お楽しみ会などのサークル活動をしたり。このまま大病さえしなければ、お金がなくても十分幸せです」