この記事の目次
「男の子は仕事 女の子は家庭」という意識 父の病死で母の生活は変更を余儀なくされる 弟にも刷り込まれた昭和の価値観
父の遺影の前にマスクメロンが
「男は仕事、女は家庭」の象徴 専門家に聞いてみた

父の遺影の前にマスクメロンが

昨年4月下旬、弟が一時帰国した。夫婦で母のメモリークリニックに話を聞きに行きたい、近々母が診察を受けに行く予定はないか、と弟の妻からメールが来た。予定はないし「先に私に話を聞きにくるのが物事の順序ではないか」と返した。弟にもCCで。

そのまま放置していたところ、外出先で弟の妻からのメールが届いた。
「今日、メモリークリニックに問い合わせをして、2人で行きました。担当の医師と助手の方が親身に病状を教えてくださいました」
「誰か一人抱え込まず身内が協力し合うように、との助言いただきました」

クリニックに行くなら、事前に一言私に連絡があってもいいでしょう。近年、こんなにバカにされたと感じたことはない。弟夫妻には怒りを伝えたが納まらない。高齢者施設を運営し、親・弟問題を抱える女友達に電話をしてしまった。経過を説明し、「そもそも弟からはなしのつぶてだったのに、ある時から妻が接触してくるようになったんだよね」と打ち明けたら、彼女は一言。「相続だよ」。「だってうちは母子家庭だし、遺産なんてものないよ」と答えると、彼女は再びピシャリ。「道子さん、甘い。そうじゃないの。もらえるものは多い少ないにかかわらず、何でももらおうとするの」。記録を取っておくことを薦められた。さすがに今は弟夫妻がそうだとは思っていない。母が亡くなった時に判明するだろう。

梅の花を見て、「白い花、きれいね。何の花だろう」と母。物の名前が分からなくなってきた。(写真提供◎山田さん)

弟夫妻は、メモリークリニックに行った後、うちに立ち寄った。私が帰宅したら床の間の父の遺影の前にマスクメロンが鎮座している。なんでマスクメロン? 前回弟が一時帰国し、赴任地に戻る直前に持ってきたのもマスクメロンだった。