人生で3回トイレットペーパー枯渇危機と直面

世の中で何か大きな出来事が発生すると、人々が真っ先に調達に走るのがトイレットペーパーだ。

1973年の原油価格高騰に伴うオイルショックでは、製紙工場の稼働停止への懸念から、殺気立った主婦たちに日本中のトイレットペーパーが買い占められ、需要に生産が追いつかなくなった。

私がイタリアに留学した翌年、チェルノブイリで原発事故が発生し、欧州中がパニックに陥ったが、その時もやはりトイレットペーパーはスーパーマーケットから瞬時に姿を消した。

そして、昨今の例でいえばコロナ・パンデミックの拡大が著しくなった3年前だ。

日本で足止め状態になった私はトイレットペーパーが手に入らないとSNSで何気なく嘆いたところ、フランス在住の友人からトイレットペーパーが送られてきた。

あまりに尊くて今でも使えずに保存してあるが、私は自分の人生において、少なくとも3回はトイレットペーパー枯渇危機と直面したことになる。

かつては新聞紙を揉んで柔らかくして使っていた時代だってあるのだから、ないならないで何とかなりそうなものなのに、我々はどうしてこれほどまでトイレットペーパーに縋り付かねばならないのだろうか。