「水炊き」にポン酢は知らなかった

今でも忘れられないのが高校2年のときです。

友達の家でご飯をご馳走になりました。そのときのメニューは「水炊き」。

不味い!味がない!当然です。ほぼお湯の味なのですから(写真提供:Photo AC)

僕はそれを一度も食べたことがなくて、存在自体も知りませんでした。しかし反射的に、「うまそう。久しぶりに食べるなー」と言ってしまったのです。

そして鍋の中の具材を器に盛り、そのまま食べました。不味い! 味がない! 当然です。ほぼお湯の味なのですから。

それを見ていた友達が不思議そうに、「お前珍しいな。ポン酢使わないんだ?」と言ってきたのですが、僕は「お前の方こそ珍しいな。オレはずっとこの食べ方だよ」と強がってしまったのです。もう突き進むしかありません。

かなりの量を食べましたが、最後までポン酢を手にしなかった自分に感服です。

今振り返ると僕は、「知らない」ということがかなり惨めなことで、そのことがみんなに洩れてしまったら、とんでもない差別を受けると思い込んでいました。

だから頑張って、知っているふりをし、みんなと一緒感を保とうとしていたのです。

でもそれはあくまでも「ふり」で嘘です。

また、こういう行為をすることで成長すると思い込んでもいました。果たしてそうでしょうか?