演者が60歳以上の「オーバー60限定寄席」
今は「M-1グランプリ」とかネタの面白さという一点突破で売れる時代になりましたから、部屋にこもって面白いネタを作ったら人気者への足掛かりを得られます。でも、やっぱり最終的に売れ続けるのは楽屋で愛されるようなかわいげがあるか。そこやと思います。
いろいろな生き様が凝縮されている楽屋だったからこそ、僕は「楽屋ニュース」ができてたんでしょうし、僕自身も楽しんでました。
そんなことを経験して面白い人生を歩んできたベテランはたくさんいるんですけど、今はそれこそ若い人中心のエンタメの世界やからあまり出番がない。だからね、今、吉本と話をしてるんですけど、演者が60歳以上でないと出られない「オーバー60限定寄席」みたいなことをやろうと言ってるんです。
歳を取った芸人はそんな場があったら、そら、もう、やる気になることは間違いなしやし、お客さんもそれこそNHK紅白歌合戦の石川さゆりさんや郷ひろみさんやないけど、安心して見ていただけると思うんですよね。
ま、野球の名球会というとエラそうになりますけど「コレ、コレ!」と思ってもらえるような寄席。また、それをやったら、そこにも楽屋があるわけですし、新しい楽屋ニュースも生まれますしね(笑)。
ま、なんにせよ、僕らはお客さんに楽しんでもらうことが仕事ですから。この歳でできることが何なのか。そこを考えながら、やれるところまでやっていきたいと思っています。
■月亭八方(つきてい・はっぽう)
1948年2月23日生まれ。大阪府出身。本名・寺脇清三。吉本興業所属。68年に月亭可朝に入門。MBSテレビ「ヤングおー!おー!」に桂きん枝(現小文枝)、桂文珍、四代目林家小染らとともに若手落語家グループ「ザ・パンダ」として出演。一気に人気者となる。芸人のみが知るプライベートでの珍事件などを語る「楽屋ニュース」がABCテレビ「ナイトinナイト」で話題となり、八方の代名詞的番組となる。熱烈な阪神タイガースファンとして知られる。関西テレビ「よ〜いドン!」、読売テレビ「八方・陣内・方正の黄金列伝」などに出演中。弟子の月亭八光は長男。芸歴55周年を記念したツアー「八方の楽屋ばなし」(6月24日の大阪・朝日生命ホールからスタートし全6カ所)を開催する。