新喜劇の現状を真剣に語る間寛平さん(撮影◎中西正男)
今年2月に吉本新喜劇のゼネラルマネージャー(GM)に就任し、73歳で改革に挑む間寛平さん。圧倒的な実績と誰もが認める人格。109人の座員をまとめる役割として最高の人選と言われていましたが、現実は実に厳しいものでした。「ホンマに難しい」と語る真意。そして、それでも進む原動力とは――。
もう、人生の“上がり”の年齢になった。その道のトップランナーとして走り続けても来た。ただ、もしやり直せるなら。もしくは、最後の使命を果たすなら。そんな思いを「匠の粋」に達した大御所に中西正男さんが聞く新連載「人生の忘れ物」、第1回です。
(取材・文・撮影◎中西正男)

新喜劇の座員は全部で109人

就任から半年。今の感覚で言うとね、疲れましたわ(笑)。いや、ホンマに。思っている以上に大変やわ。それが正直な思いです。

若い子たちのやる気をどうすれば引き出せるのか。日々そこと向き合ってます。

今ね、新喜劇の座員は全部で109人いるんですけど、その中でなんばグランド花月やよしもと祇園花月なんかにレギュラーメンバー的に出ているのが30~40人。いつもではないけど、時々出番があるのが20~30人くらい。あとはほとんど出番がない。そういう状況になっています。

となるとね、もうその状態で感覚が固まってしまうというのか、出番がない子らも食べるためにアルバイトをしないといけない。そうなると、こっちが新しい新喜劇の劇場として大阪・難波に「セカンドシアター」というのを作ったり、いろいろなイベントをしたりしても既にバイトが生活の軸になっていて積極的に乗り出してこないんです。