ホンマに一人一人が子ども

吉本興業からは「実際に寛平さんが舞台に立って、いわゆる新喜劇の根っこの部分というかこれまで受け継がれてきたものを見せてやってください」と言われてたんですけど、そこで僕に対して「どれだけ出たがりなんや」という思いを持っていた人もいたみたいで。

言うたら、監督が代打で出るみたいなもんやから現役の選手からしたら、そのことで一打席チャンスを失うことにもなる。そういう考えになるのかもしれないし、僕も若い頃やったらそう思ったかもしれません。でも、別に僕自身が出たいということでやったものではないし、僕らみたいな年代のものがやることを見て何か感じ取ってくれたら。ただただそう思ってやったことなんですけど通じない。そんなことを痛感した場面でもありました。

僕らの時とは時代も環境も違います。そして、109人それぞれに自分が良しとする考えがあります。だから、僕が「お前ら、こうせなアカンで!」と言うものでもない。

でも、それと同時にこの立場になって痛感しているのが、一人一人に生活があり、人生があるということです。それが見えるがゆえに、ホンマに一人一人が子どもというか、心配でならん。その思いが強くなったのも事実です。

でも、でも、一人一人に考えもあるからね…。ホンマに難しいもんですよ。