ただ、自分が生まれ育った新喜劇がこれから先も潰れることなく続くこと。もっと盛り上がること。これを何より願ってますし、それが座員のためにもなるはずやと。
新喜劇をこれからも愛してもらう。そのためには新しいスターが必要だし、座員の切磋琢磨が不可欠なんです。なんとかそういう流れを作れないか。毎日そればっかり考えてます。
もちろん、70歳を超えてこんな立場におらせてもらっているという使命感もあります。ただ、何より大きいのは恩返しなんやろうなと。というのも、今、僕が仕事ができているのは周りの人に引っ張り上げてもらってきたからです。これはホンマに、ホンマにそうなんです。
同じ時期に座長になったけど僕なんかより圧倒的に達者な木村進ちゃんにも助けてもらったし、対照的に何もできひん僕には「寛平が出たら舞台が汚れる」という声もありました。
ただ、それでも目をかけてくれた社員さんらが新喜劇の別バージョンみたいな“ポケットミュージカル”というものに出してくれたり、そこでムチャクチャしたら当時の吉本の社長さんが「面白い!」と言ってくださって台本の手直しも手伝ってくれるようになりました。