(イラスト=多田景子)
がむしゃらに老後資金を貯めるのはもうおしまい。年金受給以降は上手にお金を管理し使うことが必要になります。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに「資産の見直し時」を教えてもらいました(構成=村瀬素子 イラスト=多田景子)

<前編よりつづく

【不動産】老後の暮らし方を考える

次に不動産の見直しです。まずは、これからの人生で家にかかる費用をざっくり試算する。持ち家の場合は、固定資産税、今後必要な修繕代やリフォーム代など。マンションなら毎月の管理費と修繕積立費を加えて計算し、できれば持ち家の評価額も調べておきましょう。

そのうえで、人生後半を過ごす住まいについて検討する。家が古くて建て替えが必要なら、売って住み替えたほうが金銭面で楽になるかもしれません。

将来、要介護状態になった時、在宅介護を受けるか、施設に入居するか。それによって住まいの選び方も変わってきます。

現在は戸建てに住んでいて、いずれ施設に入居したいと考えている場合。施設に入る時に家を貸したいなら、マンションへの住み替えも検討してみてください。戸建てを貸す場合、修繕にお金がかかりますし、借り手もつきにくくなります。

家を売って老後資金を増やし、賃貸に住むという選択肢も。歳をとると部屋が借りられないと心配かもしれませんが、国土交通省が行っている「住宅セーフティネット制度」もある。高齢者でも、身元保証人がいなくても借りられる物件が、ホームページで検索できます。

また、住宅の建て替え、マンションや戸建ての購入を検討する場合、全額支払うと手持ちの資金が乏しくなる。ある程度は手元にお金を残して、足りない分は、60歳以上対象の元金一括返済型の住宅ローン「リ・バース60」を利用する手もあります。

物件を担保にお金を借り、毎月の支払いは利息のみ、契約者(配偶者)の死後売却して返済する、というシステム。家を残す必要がない人向きの制度です。