この舞台はぜひご夫婦で観にきてほしい

内館さんも「結婚って男と女が長い間一緒にいて、慣れていく過程でふてぶてしくなったり、身勝手になったり、夫側にも妻側にもそれぞれ変化があって夫婦の形が変わっていく。この二人ならそのへんがいやになるほど伝わるでしょうね」と期待を寄せている。

中井さんから「男性からの『終わった人』だけじゃなくて、女性からの『終わった人』も書いていただきたい」とリクエストを送られた内館さんは、「女性も仕事を持つのがあたりまえの時代だから、書けそうね。そこに出版社の人がいるけど…」と笑った。

小説を書いているときは、映画になったり舞台になったりすることはまったく考えていなかったという内館さんは、「この舞台はぜひご夫婦で観にきてほしい」という。
緑子さんも「いろいろな年代の人、さまざまな立場の人が、どこかに焦点をあてて見ることができる舞台です。どこを拾って、どんな感想を持ったかを、みなさんに聞いてみたい。たくさんの方に観てほしい」と呼びかけると、中井さんも
「『終わった人』というタイトルを見て観に来た20代がいたら、僕は舞台の上から一言褒めたい」と笑わせながら「昔は手で洗濯していたけれど今は全自動、昔はブラウン管の白黒テレビだったけれど今はハイビジョンカラー。このぐらいの文明の進化がちょうどいいです。この変化を共に経験してきた人にこの舞台をぜひ観てほしい」と話した。

 

内館さんは中井さん、緑子さんに「60代はまだ終わってないですよ。振り向けばまだ50代、私は60代のときにヒット作の『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』などを書きましたから。まだまだです!」と力強くエールを送っていた。