(3)文化的背景

「モノが壊れるのは当たり前」という感覚は、日本人の昔ながらの文化観に裏打ちされていると言えます。

「無常観」という言葉がある通り、日本は昔から、「永遠に続くものなんてなくて、素晴らしいものも栄華を極めた人も、いつかは力を無くしてしまう」という感覚を持っています。

「驕(おご)れる人も久しからず ただ春の夜の夢の如し」と平家物語の冒頭では語られていますが、まさにこの言葉通り、東京タワーのような象徴的なものも、いつかは壊れてしまうだろう、と当たり前に受け入れる国民性が日本にはあるのです。

海外では、キリスト教の考え方に「最後の審判」というものがあるように、「肉体は消えても魂は消えず、いつか最後の日に天国に行ける」というような考え方がポピュラーです。

「いつかは滅びる」と考える日本と、「いつまでも続く」と考える海外と。その対比があって、ゴジラは東京タワーを壊しているのだと考えることができるのではないでしょうか。

というわけで、ただ「ゴジラが東京タワーを壊す」というワンシーンであっても、いろんな考え方ができます。

もちろん紹介した説がすべてというわけではなく、もっと多様な答えがあるはずです。

ぜひ、今までに紹介した思考の型を使って自分なりの答えを考えてみてください。

解答例
日本は木造建築が主流な上に災害が多いので建物の倒壊に慣れていて、「形あるものはいつか壊れる」という思想に親しみがあるから。

※本稿は、『「ドラゴン桜」式クイズで学ぶ東大思考 なぜブルーベリー農家は東京に多いのか?』(星海社)の一部を再編集したものです。


「ドラゴン桜」式クイズで学ぶ東大思考 なぜブルーベリー農家は東京に多いのか?』(著:宇野仙・西岡壱誠/星海社)

みなさんに東大式の思考習慣を身につけていただくため、東大生作家・西岡壱誠さんと協力して東大式の疑問力と思考力を鍛える良問を25題集め、随所に東大思考の本質を突いた『ドラゴン桜』の名言をちりばめました。
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