(2)地理的背景

次に、「建物が倒壊するということに対してあまり恐怖心がない」理由として、日本がそもそも「建物は壊れるものである」という考えを持っているからだということも考えられます。

日本は、火山噴火も地震も水害も多い地域です。「自然災害で最も危険な都市ランキング」では、なんとトップ10に日本の3都市がランクインしています。

東京タワーが壊れてもある意味「仕方ない」と受け入れられる(写真提供:Photo AC)

世界的に見て、日本は建物が倒壊することがトップクラスに多い地域なわけです。

もちろんそれを「当たり前」と思って見ているわけではないですが、しかし日本人は少なくとも「慣れて」いると言えます。

建物の材質も世界と日本で違いますね。日本に多い木の家って壊れたり、焼けたりしてしまうことが多いのに対して、石やセメントでできた建物はずっと長持ちします。

木造最古の法隆寺は607年にできた建物ですが、石でできた万里の長城が作られ始めたのは紀元前7世紀だと言われています。

ピラミッドなんて、約4700年前に作られたと言われているくらいですからね。

日本は、建物の倒壊に慣れている国だと言っていいのかもしれません。だから、東京タワーが壊れてもある意味「仕方ない」と受け入れられるわけです。