あることすら知らなかった機能

スマホには取扱説明書がついていないことが多く、そもそも機能や使い方を学ぶ機会が少ない、と矢島さんは指摘する。突然、「野原さんのスマホには、いくつレンズがついていますか?」と質問された。背面を確認して「2つです」と答えると、「それぞれ画角が異なる広角レンズと超広角レンズだと知っていましたか?」。正直、一度も気にしたことがなかった。カメラを立ち上げると画面の下に1と0.5という数字が小さく表示されている。「そこでレンズを切り替えます。たとえば超広角レンズの0.5倍をタップすると、ほら」。あらやだ、自分が動いたわけでもないのに、画面に映る範囲が一段階広くなったではないの!ちなみにレンズがつ3つ搭載されたスマホには、望遠レンズがついているそう。知らなかった!

「被写体を大きく撮りたいとき、画面を指で広げてズームしますが、これは画像の一部を切り取って拡大しているだけ。ズームしすぎると画質が劣化してしまいますので、気をつけてください」と矢島さん。

続いて、グリッド線の出し方と使い方を教わる。グリッド線とは、撮影時に写真の水平・垂直を取るためのガイドのこと。「たとえば海を撮るときに水平線と横のグリッド線を揃えると、無駄な傾きが防げます」。人物や建物、花を写すときは、縦線を意識す

るとバランスのいい写真になるという。こんな機能があることも知らず、老眼でおぼつかなくなった視力を頼りにシャッターを押していたのかと思うと、軽いめまいすら覚えてきた。

次は、撮影時の明るさの調節方法だ。「画面上の被写体を指でタップすると、黄色の四角い枠と太陽マークが出てくるでしょう。その近くを上下にスライドしてみて」。上に上げると明るく、下に下げると暗くなった。明るくすると画は爽やかに、暗くすると重厚感が増すという。これほど簡単に明るさを調節できるなんて、私は今まで何をしていたのか。がこれだけでは終わらない。この後、写真の仕上がりを決定的に変える極意を授かったのだ。