(右下写真)撮影◎藤澤靖子 (その他)写真提供◎筆者
取材に赴き、自分のスマホで写真を撮っては記事を書くライターは 正直、同世代の誰より使いこなせていると自負していた。 ところがスマホ写真講座を体験してみると、自分の無知を思い知る結果に――(撮影◎藤澤靖子 写真提供◎筆者 取材・文◎野原広子)

スマホを熟知していると自慢満々だった

スマホがないと夜も日も明けぬ、というのは私だけではないらしい。電車では中高年が老眼鏡をずり下げてスマホをポチポチしているし、70代、80代の人が観光地で記念写真を撮り合う姿もよく見かける。

先日、割烹料理店でお勘定をすませた年配の女性が、店の名刺をスマホで撮っていた。「紙だとすぐなくしちゃうから、何でもこうして記録しておくの」と、連れの友だちに話している。しばらくすると、その場でスマホ講座が始まった。

写真つきのネット記事を毎週書いている私はそれを横目に、「一般の中高年よりも使い方を熟知しているな」と、自慢満々。2年前にスマホをiPhone12に買い替えてからは画質もアップし、「これで文句ある?」と思っていた。ときどき「もっといい写真はありませんか?」と編集者からクレームが入っても、「スマホじゃこれが限界よ」と開き直る。頭のいいスマホにもできることとできないことがある、とそう思っていたのだ。

そんな私の前に、「スマホのカメラに備わっている機能を使いこなせていない人が多くて、すごくもったいないです」と訴える女性が現れた。カメラ雑誌の元編集長で、写真教室の講師をしている矢島直美さんだ。