着せられている感満載
「お母さぁん、これでいい?」
やっとこさサイズを探し当ててフィッティングから出てきた息子…強烈なインパクトの違和感である。
パリッと清潔感あふれる明るい色のシャツが、真夏でもないのに日に焼けたような坊主頭の首から上とのコントラストを際立たせている。のびのびストレッチ生地のパンツも、伸びすぎてスパッツのようにパンパンに伸びきってしまって、見たこともない肉感だ。
もう他を試してみる気も失せてしまった。
お腹の底からググググ…唸るように「…いいんじゃないかなぁ。」母は答えた。
着せられている感満載の息子には、ほかも見てみようとか、もっとこんなのがいい、ということもなく、給食エプロンと三角巾を身につけて給食当番をやるときのように、卒団式にそれを着て参加したのだった。
首の上と下とが間違っているような息子の出立ちを見て、やっぱり着るものって着馴れているということが大事で、服が人の体に合わせてくれるものなんだなぁ、とあらためて思った。
今、彼らがどこから見ても野球選手で、ユニフォーム姿で野球をしているときこそ心身ともに充実しているということかもしれない。
…でも3年生で野球部を引退したら、一斉にみんな髪を伸ばしパーマをかけはじめる。失敗しないよう、お祈りします。やっぱりいつまでもオシャレに無頓着のままではないようだ。