イラスト:小林マキ
長引くマスク生活により、虫歯や歯周病に悩まされる人が増えているそう。口の健康状態は全身に影響を与えますから、おろそかにできません。ノーマスク生活への移行とともに、オーラルケアを見直しましょう(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

マスク生活で口の老化が進行

50代以降は、口のトラブルが増える年代。とりわけ、コロナ禍のマスク生活で口腔環境が悪化しやすくなっていると注意を促すのは、こばやし歯科クリニック副院長の新井広幸先生です。

「マスクをしていると口呼吸になり、唾液が蒸発しやすくなります。また人と話す機会が減ることで唾液の分泌量も少なくなる。すると口の中が乾燥し、菌が増殖しやすい状態になり、虫歯や歯周病を発症しやすくなるのです」(新井先生。以下同)

虫歯や歯周病を放っておくと、やがて歯がぐらついたり抜けたりして、噛み合わせが悪くなります。その結果、食生活が変化し、全身の健康状態に悪影響を与えると、新井先生は指摘します。

「噛み合わせが悪くなると、肉や根菜、食物繊維の多い葉野菜といった硬い食べものを避け、ごはんやうどん、パンなどの食べやすいものばかり摂るようになります。これらの食品は糖質が多いので、血糖値が上がりやすくなるうえ、偏った食生活でタンパク質やビタミン、ミネラルが不足しがちに。すると、筋肉量が減って疲れやすくなったり、気力が衰えるといった影響も表れるのです」