(イラスト:佐々木愛)
2022年1月現在、338疾病が指定難病となっており、近年追加された疾病の中には、遺伝性の希少難病も多く含まれていたとのこと。また、2021年時点で、特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は1,021,606人。児玉正江さん(仮名・島根県・薬剤師・64歳)は、子どもの頃から難病に指定されている皮膚病に悩み「死のう、死のう」と毎日思いながら過ごしていたそうですが、歳を重ねていくうちに幸せを感じるようになっていました。そこには、優しく見守る家族の姿があったそうで――。

子どもは罵声、大人は聞こえよがしの嫌みを

小学校からの下校時、私の前を歩く男子生徒たちから罵声が飛んでくる。

学年も名前も知らない彼ら。しかし知り合いでなくても、私の肌を見て何か言う子は少なからずいたので、いつものように無関心を装い、同じ方向へ歩き続ける。

とにかく無反応に徹するのが一番、ということをいつのまにか身につけていた。

ひたすら無視して耐えていれば、むこうが面白くなくなって、やがて罵声も止む。面倒なのは、むしろ大人のほうだった。大人の執拗で粘っこい言葉に比べれば、子どものそれはサラリとして後に引きずることがない。

「あんたのお姉ちゃんは色白できれいな肌をしとってのに、あんたはかわいそうに。治る方法があるといいのにね」

スーパーのレジに並んでいると、前にいた知り合いのおばさんが、周りに聞こえるような声でこんなことを言うのだ。