(撮影:大河内 禎)

「歌友さんが来ると、一緒にお昼ご飯を食べて、お茶をしながらいろいろな話をするわね。でも夕飯は一人。ニュース番組を肴に晩酌もしますよ」。そう話すのは、日本を代表する歌人の馬場あき子さん、95歳。

「歌友さん」とは近所に住むお弟子さんたちのことで、家事や事務、電話などのサポートをしてくれるというが、当の馬場さんは取材の合間もリビングと廊下をスタスタと行ったり来たり。とても95歳という年齢を感じさせない。歌人となって75年の今も、新作が短歌雑誌の巻頭を飾る。

これまでに詠んだ歌は1万首を数え、刊行された歌集は27冊。主宰する短歌結社「歌林の会」の歌誌『かりん』は創刊45あ年となり、会員数は全国に約1000人いるという。

新聞3紙で短歌の選者を長年務める。古典や能への造詣も深く、最近まで新作能の制作にも携わってきた。