高速でハガキをさばく馬場さん(映画『幾春かけて老いゆかん 歌人馬場あき子の日々』より)

そんな馬場さんの92~93歳の日常に密着したドキュメンタリー映画が、この5月より公開される。タイトルは『幾春かけて老いゆかん歌人馬場あき子の日々』。

創作活動や仕事に熱意をもって取り組む一方で、お弟子さんたちとの会話からは、お笑い好きでチャーミングな一面も伝わってくる。「朝日歌壇」に寄せられる5000通ものハガキを超高速でめくり、一瞬で良し悪しを判断するその瞬発力は驚異的だ。

本誌のインタビューで、「80代になるまで、自分が老いているなんて思わなかった」と語った馬場さん。「肉体は衰えるけれど、魂はそのままね。老化が怖い人は、魂のために、足腰を鍛えておくといいわ」と笑う。

まだまだやりたいことがたくさんある、歌も詠み続けたい、とのこと。映画を観たあとは、背筋がピンと伸び、元気をもらえるに違いない。


馬場さんの1年を追ったドキュメンタリー映画『幾春かけて老いゆかん 歌人馬場あき子の日々』は5月27日より東京・新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開