オノマトペと日本語の方言

オノマトペは世界共通とは限らない。むしろ言語固有、あるいは地域固有(つまり方言的)なものが多い。そのため、非母語話者はもとより、同じ言語の話者でも当該の方言を話さない話者にはオノマトペの意味がわからないこともよくある。

オノマトペのように対象を模したことばでさえ、方言が異なると何を対象にしているのかがわからない。この現象はどうして起こるのか? この問題は、言語の多様性がなぜ、どのように生まれるかを考える上でヒントになりそうだ。

「チャコ」「タコ」「グルー」。これらは日本語の方言における、ある動物の名前である。いずれも方言のオノマトペをもとにしている。その動物が何か、わかるだろうか?

答えはネコである。「チャコ」は東北地方の方言で、ネコを呼び寄せるときの舌打ち音、つまり口の中で舌を動かしながら空気を吸い込む音に由来するそうだ。