腸は実際に自律神経に包まれている
自律神経について、もう少しだけお話ししておきましょう。
先ほどから、自律神経と腸のぜん動運動には密接な関係があるとお伝えしていますが、みなさんの中にはまだ納得がいかない、イメージしにくいという方もいらっしゃるかもしれませんね。
そこで、下のイラストをご覧ください。これは、腸の管がどんなつくりになっているかを示したものです。
腸の管は、粘膜と筋肉がバウムクーヘンの層のように、重なって作られています。そして、腸の管の壁の中には、ネットのようなものが張り巡らされている層が2つありますね。
このネット状のものは、どちらも神経細胞です。
食べ物が通過していく管の一番内側は粘膜で覆われ、その粘膜をひとつ目の神経のネットが覆っています。
次にひとつめの筋肉の層があり、その筋肉をふたつ目の神経のネットが覆っています。その外側はさらに筋肉の層で覆われています。
ひとつ目の神経のネットは、マイスナー神経叢と呼ばれ、副交感神経だけで構成されている神経叢です。
ホルモンなどの生理活性物質の分泌を調節していて、主に小腸と大腸にあります。
ふたつ目は、アウエルバッハ神経叢という神経のネットです。
このアウエルバッハ神経叢は、交感神経と副交感神経の両方で構成されていて、ぜん動運動の緊張と弛緩を調節しています。
食道、胃、小腸、大腸にあり、肛門括約筋にまで存在しています。
このふたつをまとめて「腸管神経」と呼びます。
つまり、腸の動きが自律神経の働きに左右されるのは、実際に神経がびっしりと腸管にくっついているから。
イラストで示したように、実際に自律神経のネットで包まれているから、腸のぜん動運動は自律神経の働きにダイレクトに影響されるのです。
※本稿は、『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム)の一部を再編集したものです。
『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(著:川本徹/アスコム)
『全身の健康の9割は腸と関係している』と言っても、言い過ぎではないと思います。
長生きの秘訣は、腸にあるのです。
日本人の腸活で「動きのいい腸を作る」ことは意外に見落とされてきた点です。
本書では、「超動きがいい腸」にする方法を食事、運動の両面からご紹介しています。